震災・防災学習での活用を見据えて現地を下見
まもなく震災から8年半を迎えます。
震災後に生まれた子どもが小学校に入学するなか、地元の子どもに震災を伝承し、災害に備える防災学習が課題となっています。こうしたことを受け附属小では震災・防災学習に積極的に取り組んでいます。
8月2日、宮城教育大学附属小学校の教員ら33名が、夏休み中の校内教員研修の一環として、仙台市荒浜地区の震災遺構を訪れました。2年前に公開が始まった荒浜小遺構と、ちょうどこの日に公開が始まった荒浜地区の「住宅基礎遺構」を見学しました。附属小では、今年中に5〜6年生を対象とした震災・防災学習を計画しており、今回の訪問を通じて教諭らは、震災遺構を訪問する前の指導や、訪問後の振り返りも含め、どのような授業づくりが出来るか、訪問する際の留意点や流れなどを検討しました。
案内を行った現地スタッフの高山智行さんは、「遺構となった荒浜小は、震災の経験を多くの人たちに知ってもらう伝承施設であると同時に、ここに暮らした人たちの思い出の場、集いの場であることにも目を向けてほしい」と遺構の役割や存在意義を語りました。
附属小の西城潔校長(宮城教育大学教授,自然地理学)は、「日々、小学校で子どもたちと関わっている教員にとって、震災当時の生々しい痕跡が残る荒浜小は、震災遺構という言葉だけでは表しきれない場であるはず。今日の見聞は、きっと附属小児童の防災学習にも活かされるだろう」と研修の意義を振り返りました。
大学の重点支援研究プロジェクト『震災の記憶が希薄な児童に対する災害遺構を活用した防災教育の効果―附属小との協働実証』を主導する同機構の小田隆史准教授は、「課外学習で、いのちと暮らしの尊さを学ぶ機会を創出することは重要。子どもの心理面や震災を経験した大人の心情も考慮し、附属小の先生たちの意見をもとに被災地学習の効果や課題について考えたい」と述べました。
宮城教育大学は今年、仙台市と連携して荒浜小遺構活用のための教員向け手引書を刊行。4月に学校防災に関する研修拠点<311いのちを守る教育研修機構>を発足させ、附属学校園とも連携して全学をあげて防災教育の推進に取り組んでいます。