311ゼミナール活動報告会開催/震災に向き合った学生の記録

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はじめに

2019年4月に発足した宮城教育大学「311ゼミナール」は、初年度1年間の活動のまとめとなる報告会を2020年2月10日(月)、学内「未来の教室」で開きました。「宮教大生にとって東日本大震災とは何か」の問いの下、ゼミ生が自ら設定したテーマについて議論を重ね、調査した成果は、多数の新聞、放送の報道で取り上げられ、学内外から大きな反響を呼びました。

報告会には、ゼミ登録学生35人のうち、継続的に参加してきた15人が参加。東北大学、宮城大学の教員、メディア関係者ら約15人が集まる中、「学校避難の検証」「防災教育の現状と課題」「放射線教育の実情と課題」の三つのグループごとに、週1回、延べ30回のゼミの時間で重ねた活動について、パワーポイントで報告しました。

「学校避難の検証」グループ

「学校避難の検証」グループは、小学校6年生のときに震災の津波で学校避難を経験したゼミ生3年生の経験を共有し、現地調査で当時の校長と一緒に避難路を歩いたほか、当時の教員へのアンケートを実施して、学校や教員の備えの要点をまとめました。

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「防災教育の現状と課題」グループ

「防災教育の現状と課題」グループは、卒業・卒院を控えた4年生や院生が中心になり、名取市閖上小中学校などの視察も通して、学校現場で防災教育を進める場合のポイント、課題を一人ひとりが調べ、発表しました。

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「放射線教育の課題」グループ

「放射線教育の課題」グループは、福島県教育委員会や福島大学の専門家に対するインタビューなどを通して、原発事故後の放射線教育の現状と課題を整理し、学校現場の視察など今後の継続的な取り組みの方向性を確かめました。

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そのほかの報告

そのほか、震災語り部活動をする東北学院大学1年の雁部那由多さんを招いた12月の勉強会の報告もあり、同世代が震災に向き合い、伝承を担う意義についてまとめました。

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報告会には、東北大学基礎ゼミの学生もゲスト参加し、ゼミで取り組む震災伝承のための模擬授業を披露して、宮教大ゼミ生とともに原発事故風評被害の対策について意見交換しました。

おわりに

試行錯誤の中で初年度の取り組みを進めた311ゼミナールは、学生主体で震災に深く向き合う機会という位置づけの下、一定の活動成果をまとめることができました。報告の後で一人ひとりが感想を語った場面で、学校現場の避難の成否だけでなく震災の出来事と教訓をきちんと伝え継いでいきたいという決意が数人から披露されたことが、特に印象的でした。2年目も新たな仲間を迎え、宮教大生にとっての震災を考え続けます。

最後に「学校避難の検証」グループの報告書の末尾に記録されたゼミ生の感想を一部、抜粋して紹介します。

・教員になった際に充実した防災教育がしたいと考え、このゼミに参加したが、最初は大した被災経験をしていないのに震災のことについて話し合うことに引け目を感じていた。しかし、実際に活動していく中で、どのような災害を経験したかはさほど重要ではなく、その震災から次に起こり得る震災に向けて何か行動しようとしているのかが重要であると感じるようになった。私は、このゼミで学んだことを活かした教育活動ができるようになりたい。

・私にとってこのゼミの活動は、沿岸に住んでいる小学生という立場ではなく、子どもの命を守る教員の立場になって学校避難について改めて考えることのできる充実した時間になった。このゼミで吸収したことを現場で生かすことはもちろん、多くの人に伝えていきたい。

・特に印象に残っているのはやはり現地視察。そこから見えてきたものは学校だけでなく地域や家族の全員で、総力を持って防災意識を高く持つ事の大切さだった。教員として、特に子供達の命を守らなくてはならない。とても責任が重い。このゼミでは、それをさらに強く実感することができた。この経験は、必ず教員になってから役立てたい貴重な経験だ。

・大学生という時期に、改めて東日本大震災に向き合うことができたことは貴重な機会だったと思う。この経験をこの場だけで留めることなく、私たちの次の世代にまで引き継いでいくことが、大切だと思う。

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