2019年6月3日・4日 被災地防災研修

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「震災遺構から学ぶ初のリーダーシップ研修」実施

 

2019年6月3日・4日 被災地防災研修

宮城教育大学教職大学院―防災新機構などと連携

宮城教育大学教職大学院は2019年6月3―4日、東日本大震災の被災地視察を組み入れた「2019震災遺構から学ぶリーダーシップ研修」を開催した。

本年4月に発足した宮教大「311いのちを守る教育研修機構」(防災教育研修機構)、独立行政法人教職員支援機構(茨城県つくば市)の東北地域拠点「宮城教育大学センター」と共催し、初めて企画した。

教職大学院で学ぶ中堅クラスの現職教員や教員を志す院生ら約30名が参加。初日に、児童74人が犠牲となった石巻市の大川小学校跡地を訪れ、遺族で元中学校教諭の佐藤敏郎氏(宮教大卒)から話を聞いた。続いて南三陸町の旧戸倉小学校跡地や避難先の高台、最終避難した五十鈴神社を、当時校長だった麻生川敦氏(富谷市教育委員会)の案内で実際に踏査した。麻生川氏は、避難に関する事前の教職員間の協議や防災関係機関とのやり取りなどを通じた備えの重要性について訴えた。また、南三陸ホテル観洋に勤務する語り部、伊藤文夫氏の案内で、南三陸町の民間震災遺構「高野会館」を視察。320名の命を救った現場の様子を確認し、避難の判断や備えの重みを共有した。

2日目は、2018年4月に小中一貫教育を行う義務教育学校として設置された名取市立閖上小中学校を訪ね、震災当時教務主任として閖上中学校に勤務し、閖上小中校の設立に尽力した八森伸校長の講話を聴いた。

続いて、公共施設として初めて東日本大震災の震災遺構として公開を開始した震災遺構仙台市立荒浜小学校を訪れ、荒浜地区出身で遺構スタッフの高山智行氏の案内により、震災当時の様子と現在までの復興について学んだ。宮城教育大は、荒浜小遺構の教育現場での活用推進を支援しており、教員向けの活用手引書を参考にして、学校の教科学習と課外学習との融合について考察した。

視察を終え、受講生は宮教大「NITS未来の教室」において、視察研修の振り返りのワークショップに参加した。山形大学教職大学院生で山形県立置賜農業高校教諭の成澤久美氏(専門教科:農業)は「震災の恐ろしさは報道で触れており、恐怖感と遠慮もあってなかなか被災地に足が向かなかった。しかし、自分の地域で震災のことを伝えていく必要性を感じており、311をどう受け止め、どう向き合っていけばよいかという足掛かりにしたく、学びにきた」と振り返った。

宮教大教職大学院生で塩竈市立第三小学校教諭の小幡藍氏は「我々教員は「大事な子供を預かる職業・大事な命を守る職業」であることをしっかりと自覚し、一人一人がその学校の置かれた状況を把握し、子供たちのために最善の策を考え続けていかなければならないと強く感じた。未来を拓くために、これから先ずっとずっと残る防災教育を考えていきたいと思う」と話した。

同じ大学院に通う仙台市立東二番町小学校教諭の武田直樹氏は「地震に限らず様々なリスク管理の場面において今回の研修が役立つと思う。子供の命を守るために正しいと思ったことをしっかりと伝えられるミドルリーダーでありたい」と決意を述べた。

エルサルバドル共和国出身の留学生で現職教諭のウォルテール・カストロ氏は、「エルサルバドルも環太平洋火山帯に位置しており、地震のリスクが高く、14年前には大震災に見舞われた。教師として子どもの命をどのように守るべきか、リーダーシップをどのように発揮して判断を下すのかなど、多くを学んだ。災害という危急の事態に日本がどう向き合い困難を克服し、復興を遂げつつあるのか、帰国後、子どもたちや同僚としっかり共有したい」と意気込みを語った。

閉講式では、修了証を授与し、挨拶した岡正明・防災教育研修機構長(宮教大理事・副学長)が「人の命を守るということは、教師の仕事にとって当然の前提だが、その一方でそれは単純なものではなく、葛藤と表裏一体だ。難しい状況の中で適切な判断を瞬時に下すために、今後も私たちは学び続けなければいけない」と受講者を激励した。

宮教大教職大学院は、リーダーシップ研修を今後も定例化し、学校現場での防災教育推進に努める。共催した「311いのちを守る教育研修機構」は別途、南海トラフ巨大地震想定域や広域首都圏の学校関係者を対象とした研修を7―8月に新規に実施する予定。学内との連携をさらに進め、機構が担う震災伝承と学校防災の啓発推進の役割を果たすことにしている。

 

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